ある日の勝負
僕が2011年、新しく校舎を出したとき。
うちの塾では無料体験期間を設けている。
その体験中に、20人のクラスでなんと5人も宿題をやってこなかったのです。
これは、僕には、勝負だな、と思ったのです。
以下、再現------------------
「みんな、顔をあげろ~。ちょっと大切な話がある」
ざわざわ、もごもご。ぺちゃくちゃ
「おい!大切な話があるって言ったらしっかりと聞く姿勢を整えろ!」
生徒はここで真剣な表情に。
「きみたちは全員無料体験でいま俺の授業に参加している。この一ヶ月間を『ま、無料体験だし』なんて軽い気持ちで参加している生徒がいたとしたら、おれは悔しい。」
「おれは君たちをただの体験生だと思ってテキトーに授業をしていない。それは伝わっているな?」
何人かうなずいてくれる。
「なんでさ、この一年のスタートの大切な時期に、宿題をやってこない生徒が何人もいるんだよ。」
「そんな程度で、俺の授業に参加しないでくれよ。俺がどれだけ、君たちのことを思ってこの宿題を準備したか、わかるか? 新しいスタートを良い形で迎えてほしい、だから、勉強面は俺が絶対に支えるんだって。そういう覚悟でやっているんだ。」
「もし、それが君たちに伝わっていないのだとしたら、俺は先生失格だ。」
ここでしっかりと間を取る。
生徒たちは真剣に俺のことを見つめている。こんなに真剣に話す大人が初めての子もいる。
「宿題の大切さは先週、しっかりと伝えたはずだ。もし、来週も宿題忘れがいるようなら、俺はもう授業はしない。きみたちも体験なんだから、他の塾へ行ってくれ。」
「でも、俺の言葉が届いたならば、来週、全員宿題をやって気持ちよく授業をさせてくれ。それが俺の最高の喜びだ。来週以降も、俺はみんなと一緒に授業がしたい。」
こんな話をしました。これ、相手は全員無料体験ですよ。
内心は恐怖だった。
翌週、生徒が全然来なかったら、、、と眠れないくらいだった。
はい。もちろん、全員入学してくれました。
嬉しかったな。