↑こちら第一話
あの衝撃の日から
数ヶ月後-------------------------------
あのときから、若者は、あの得体の知れない裕福な老人のことが気になって仕方なかった。
あの豪邸にはいろんな人が出入りしている、どうやら親戚中たくさん呼んで暮らしているようだ。
老人は犬も飼っている。
しっかし、すごい毛並みの秋田犬だな~。明らかにすごい血統書付きだろうな~
俺の家なんて、雑種の小汚い犬だもんな。笑
でもかわいいからいいんだよ。
それにしてもあの豪邸、、、、建てるのにいったいいくらかかっているのだろう。
まったく金持ちってやつは、俺たち貧乏人から金を巻き上げているんじゃないのか??
じゃないとあんな豪邸建てられないよ。
は~あ。
俺の家なんて、ぼろアパートだ。でも暮らせていけるから、質素な生活だけど、十分か。なんて思い始めていた。
・・・・・ある夕暮れ。
あの犬を散歩している老人とばったり会った。
若者はチャンス!とばかりに、
「あの~、この前の続きを聞かせて欲しいんですが・・・」
「なんじゃったか?」老人はとぼけているのか、本当に忘れているのか。
「あの、『君、お金持ちになりたいのか?』って聞いてくれたじゃないですか。」
「あ~、その話か。 何が聞きたいんじゃ?」
「えっと、おじいさんの犬がその立派な犬で、僕の犬がこの雑種です。そのワンちゃんいくらくらいしたんですか?」
「値段か。覚えておらん。それより、きみの犬。かわいいな~」
「・・・・・・あ、ありがとうございます。おじいさんの住んでいる家ですけど、ざっと見るに、土地入れて3億くらいですか?」
「きみ、ズバズバ聞くね~、まぁいい。
いや、建てた当時バブルじゃったから5億じゃったな。あれは少しやられたわ。
わっはっはっは」
「・・・・僕の家は・・・・まぁ、ボロ家ですけど、うちの親は毎日真面目に働いていてあの家を購入したんですから、それでいいんですよ。ははは・・・人を傷つけたり、悪いことまでしてお金持ちにはなろうとは思わないですし・・・」
老人は急に目つきが変わり
「ボロを着るのを褒めてはいけない。」
「えっ?」
「すべての貧乏人が高潔だとは言えないのと同じように、すべてのお金持ちが強欲で人々から搾取しているとは言えない。」
「すみません。」
「そんな言葉が出てくるなんて、君はお金持ちをひがんで、ねたんでいる気持ちがないだろうか。」
「・・・・・ない。とは言えませんね。」
「ねたみ、ひがみの感情は無くさなくてはいけないよ。
ある人をねたんだり、ひがんだりする感情は、もうその人には追いつけないのであきらめ、ということに直結している負の感情じゃ。
きみはあきらめているのかね?」
「いいえ!あきらめてはいません!」
「そうか、なら、今日もひとつ教えてあげよう。」
「ありがとうございます。」
「まず、あの家じゃが、5億と言ったが、その5億は私が家を建てたときに消えたのだろうか?」
「そうでしょう。だって5億支払ったのですから」
「いや、正確には5千万だけしか、初めには支払っておらん。その後はわしの財布からは支払っておらん。賃貸人が支払ってくれておる。」
「えっ?一緒に住んでいたご親族ではないんですか?」
「1階はすべて貸し出しておる。わしは実質頭金だけで、あとはその賃料から払っておる。払い終わると頭金の分も補ってもらう計画でな。
まぁ、何かあっても、あの家を今手放せば1億以上で売れるがね・・・」
「なんと・・・・・」
「お金持ちってのはお金を賢くつかっているのじゃよ。お金にお金を稼いでもらっているんじゃ。嫌味な言い方じゃが、本当のことじゃ。」
「どうすればそんなことができるのですか?」
「どうすれば?今言ったとおりのことをしただけじゃ。
はっはっは。仕組みじゃ。
このワンちゃんも毎月の家賃収入で買った。
だから値段覚えておらん。欲しいものがあったら、資産から得られる収入で購入する。
金持ちはワンクッション入れるんじゃ。
はっはっは。実はあの家の頭金の5000万すらわしのお金じゃないんだ。
銀行のお金じゃ。はっはっは。」
と言いながらおじいさんは豪邸、いや、賃貸スペースつきの家に帰って行った。
つづく・・・・
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