子どもが苦労しないように付属校へ
悩めるママの子育て日記~場面ごとの解決法~
【小説風】
※以前公開した記事を編集追記してあります。
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今年、とうとう、うちの子が受験生になった。
本人はまだあまり実感がないのか、志望校を聞いても何だか決まっていないようだ。
もう9月だというのに・・・親ばかりが焦っている。
そうね、あの子の今の偏差値なら~~、朝霞西高校が安全かしら、頑張って川越南高校かしらね。
でも、あの子には良い大学まで行って欲しいから、私立高校でもいいわ。
大学付属校に入ってくれたら苦労しないわよね。
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「お義母さん。あの子の志望校なんだけど、付属校に入れようかしら。」
プロの子育てアドバイザーのお義母さんの意見が素直に聞きたかったのと、お義母さんも賛成してくれるだろうと思っていたのだけど、、、
まさかの展開に・・・
「私は孫の志望校に関してはどうこう言うつもりはないけど、選び方に関してはアドバイスするわ。
なんで大学付属校が良いの?」
「え?当然じゃないですか!だって、大学受験しなくて済むんですよ。あの子のためですよ。
実は、私、大学受験で相当苦労したんです。だから、あの子には苦労して欲しくないんですよ」
「・・・・そう。本当にあの子のことを思っているの?それは親のエゴではないかしら?」
私はそんなことを言われるとは思っていなかったので驚いて聞き返した。
「え?エゴって・・・」
「自分が苦労した分、それを自分の子に置き換えて、何かを取り戻すような感覚はない?
周りの目を気にしてない?
本当にあの子のことを思っているの?
では、聞くけど、あの子にとっての苦労って何かしら?」
義母から予想外の質問で、私はビックリした。
私が返事に困っていると、義母はもう一度聞いた。
「あの子のためって何かしら?」
「えっと、受験で苦しむことがないように、失敗しないように、、」
私はそれしか答えられなかった。
「うん。あなたの気持ちもすごくわかるの。
どんな親も子に苦労はしてほしくないもの。
でもね、その『苦労』って若いうちは宝になるのよ。
子どもが経験すべき貴重な『苦労』を取り除いてしまうのは、親の罪だと思うわ。
子どものため、って言うけど、長い目でみて、子どものためにならないこともあるわ。」
「でも大学受験で、もし失敗してしまったら・・・」
「確かにそうね。でもそんなことを気にしていたら何もできないし、何も挑戦できないことになってしまうじゃない。
ラクをさせることが本当に子どものためになるの?
違うと思うわ。
逆でしょう。もし、試験もなく、すんなり大学に入れたとして、その3年後には『就活』だったり、『○○試験』だったり、実力を試されることが必ずあるわ。
そのときに、ライバルと戦える精神力と体力を身につけさせることが大事じゃない?
だから逆なのよ。
今、その経験を積むチャンスを親が奪ってしまうのは親のエゴだと言っているの。」
「お義母さんの言うことは、とてもわかります。」
お義母さんはいつも正しい。
確かにあの子のためというよりは、私は子どもが大学進学することの世間体や、自分が楽をすることを考えていたのかもしれない。
そして、自分が早く安心したかったんだ。
「人間は弱いところがあるわよね。
大学受験がないということは、どうしても勉強に対して必死さが出てこない可能性が高いと思うの。
エスカレーター式に大学に入れると分かっていて、がむしゃらになれる人間は少ないと思う。
ソコソコ勉強はしたとして、それで大学に入学してしまうわけでしょ。
でもね、一方では、周りの友人たちは大学受験に必死で取り組み、毎日何時間も勉強をして、合格判定テストでD判定が出ても、いろんなものを我慢して、誘惑に打ち勝ち、必死で試行錯誤して第一志望大学に向けて努力して、入試ではプレッシャーに耐え、勝ち抜いていく。
そんなライバルと就活で戦えるのかしら?
社会人になってからもよ。
同じフィールドで戦えるかしら?」
さらに義母は続けた。
「大学に入ることが最終目的で幸せになれるなら、それでもいいのよ・・・
言葉は過激だけど、ある意味、受験勉強からの「逃げ」の手助けをしてしまうことになりかねないのよ。」
「そんな視点では考えたことがありませんでした。お義母さんのおっしゃるとおりですね。
でも、学校の三者面談でも、付属校を勧められたんです。
ママ友も付属校に行かせようかって思っている友達も多くいます。」
私は、自分の考えの浅さを認めながらも、まだ完全に理解できてはいなかった。
「もちろん、付属校を否定しているわけではないのよ。何か目的があったり、その学校に魅力があったりするなら良いと思うわ。
でも、ただ単に子どもに受験の苦労から解放してあげたい、ラクにさせてあげたいという考えは危険ということよ。
それより、一番大事なのは本人の意思よね」
「確かにそうですね。言われてみるとその通りだと思います。もう少し深く考えて、あの子と話し合ってみます。」
つづく、、、