10年くらい前なんですけど、
慶應志木に合格した教え子がいました。
彼、中学時代の一時期、宿題をやれなくて悩んでいたんです。
部活でもうまくいかなくて悩んでいる時期でした。(青春ですね)
その頃は我々も、勉強量確保のためにも、宿題は必要だと確信していましたので(当時は、です)。
僕も他の担当の先生も、どうにか彼の「ため」に話をしたり、説得したり厳しく叱ったりしました。
しかし、一向に良くなりません。
「いやー、また、彼(慶應BOY)国語の宿題を忘れてきたんですよねーー」
と担当の先生から相談。
夜中、僕は担当の先生と話し合いをしました。
このままでは、本人を追い込むばかりじゃないかって思ったんです。
そして、
彼の「ため」がいけなかったことに気づきました。
これは先生の暴走です。
あのさー、あいつ(慶應BOY)さ、俺たちの中3のときより、確実にすごいんじゃない?
だから、俺たちの枠で考えて押し付けていたらダメだよな。
宿題もフリーにして、本人に考えさせてやらせようか。
もちろん、適切な距離感で見守ろう。特別対応をしよう。クラスのみんなにはうまく説明できるし。
って。
彼は、見事に、慶應志木高校に合格。
私は、 それ以来常に大事にしています。
「○○のため」ってのは時には危険で、「○○の立場で」ってのが正しいと。
たとえば、英語の先生がテスト前日に、「生徒のため」っていって、何時間も教科書の対策してたらダメでしょ。
その子たち、他の教科やりたいかもよ?教科書の対策なんてもう本人たち終えているよ。みたいな話です。
これは極端な例ですけど、塾の先生でもそういう暴走が起こるので、気をつけないといけません。
親もそうです。「子どものため」で暴走してしまっていませんか?
「子どもの立場で」っていうのをすべてのベースにしましょう。
「○○のため」ではなく「○○の立場で」って考えましょう。