あるテスト返却日の夕方、塾の自動ドアが開いた。
そこには下を向いた生徒が立っていた。
塾に入ってくるなり、俺の目を見て泣き出した。
中学3年の小柄な女子が、声を漏らさないように泣いている。
おい、どうしたんだ?
そう聞いても、何も答えないで泣いている。
テストの結果が悪かったのか?
そう聞くと、泣き声が大きくなった。
彼女は何も言わず、ただただ泣いている。
そうか。
悔しかったんだなぁ。
いいか、よく聞け。
その涙は、お前を強くするんだ。
その涙としっかり向き合っていくんだ。
悔し涙が出るってことは、一生懸命やったって証拠だ。
テキトーにやった奴には流せない涙だ。
悔し涙が出るってことは、さらに上を目指しているってことだ。
まさか、このままで終わらせる気か?
お前はこの程度で終わるつもりなのか?
そう言うと、彼女は泣き止んだ。
目にはまだ涙が浮かんでいるが、その瞳の奥には、大きな覚悟がみえた。
俺はな、俺たちの塾はな、そんな生徒を心から誇りに思う。
今回で終わりじゃないだろ。むしろ、新たなスタートだ。
一緒に頑張ろうな。
そう伝えると、彼女はまた泣き出した。
おいおい、また泣くのか?
そう聞くと、
この涙は、ちがう
うれしい涙。
彼女はそういった。